【Style9】マセラティ・スパイダーのあるガレージ編
ガレージに必要なのは、ツールボックスとは限らない。
ただ大好きなクルマと過ごすためだけの"愛の巣"だっていい
ライター 夢野忠則
「GarenT Style」の取材でお話を聞かせていただく方には、ガレージライフへの憧れから
賃貸ガレージハウス「ガレント」に入居された、というケースが多い。
だから当然、ほとんどの方のガレージは、おもちゃ箱のようなトキメキに満ちている。
それはオーナーさんの、ガレージライフを実現できた歓びと興奮のカタチなのだと思う…
ところが、今回おじゃましたMさんのガレージは、趣きがちょっと異なっていました。
Mさんのガレージは、まるで落ち着いた“部屋”のようなたたずまいなのです…
Mさんの愛車は、マセラティ・スパイダー。
ソリッドなダークブルーのボディとブラウンレザーの内装が、なんとも上品で美しい。
ロングノーズ&ショートデッキのスタイルは、柔和なフロントマスクの表情もあって、
どこか古典的な雰囲気さえ漂っています。 フェラーリのような華やかさとは違う…
そう、大人びたイタリアの淑女のような色気…
「落ち着いたマセラティの雰囲気が気に入っています。でも、それだけではないんです。
淑女のような顔をしてはいますが、こいつはV8、4.2L、最高出力は390馬力もある。
私が、いちばん気に入っているのは、実はこのエキゾーストノートなんですよ。」
とMさんが、アクセルを煽って聴かせてくれたマセラティ・スパイダーの咆哮は、
スコーンと突き抜けるように甲高くて、すさまじく、そしてあまりに官能的な…
淑女のようなイタリア美人が、実は脱いだらすごかった、みたいな衝撃(笑)
これは、たまらない…
「でしょう? 私も、この音にやられましてね。
クルマ屋さんで即決しちゃったんですけど、それからが困った。 保管する場所に(笑)」
「最初は、ボディカバーをかけて普通の月極め駐車場に駐めていたんですけど、
どうにも気になってしょうがない。雨はもちろん、他人の目にさえ晒したくなくて…」
う~ん、わかり過ぎるほどわかります、そのお気持ち。
なんたって、マセラティ。 ましてやスパイダーだから、なおさら気になりますね。
「ともかく屋根付きのガレージを探そうと思って、ネットでいろいろ調べてみたんですが、
なかなかいい物件がなくて。住んでいる場所と離れたガレージ、というのも切ないし…
できればガレージハウスを、と検索しているうちにガレントさんの存在を知ったんです。」
Mさんのお話をうかがっていると、クルマ好きがクルマを楽しむためのガレージを求めた、
というよりも、まるで恋人同士が一緒に暮らすための“愛の巣”を探した、といった感じ。だから、このガレージは、あたかも“部屋”のようなたたずまいなのですね。
「私は、自分でクルマをいじったりする趣味はないんです。ただ、こいつのそばにいたい。
だからガレージに必要だったのは、ツールボックスではなくて、机と椅子だったのです。
生活の同じ空気のなかに、いつも、こいつがいる。 それが、なによりの歓びですね…」
音楽もお好きなMさんは、ガレージ、もとい“愛の巣”にオーディオセットを設え、
たまには、ギターをつま弾く夜もあるのだとか。
唯一のご不満は、マセラティ・スパイダーのアクセルを、目いっぱい踏み込める道が、
つまりは、最高に官能的な淑女の咆哮を聴く機会が、あまりないこと…
いいじゃないですか、Mさん。
脱いだらすごい彼女は、なかなか脱がないから、また魅力的なわけで… お幸せに!
Mさんのインタビュー動画
「夢へ近づくガレージライフの入口 ガレントユーザーインタビュー vol.1」
夢野忠則/プロフィール
クルマ馬鹿サイト「BACCARS」主宰、NPO法人ココロードプロジェクト理事。
2005年より、ほぼ毎日書き続けるブログ「夢野忠則のクルマ馬鹿で結構!」は、
楽天ブログ(クルマ・バイク部門)でアクセス数日本一を記録。